海兵隊移転反対連絡会の申し入れ書

平成16年7月21日

札幌防衛施設局長殿

海兵隊移転反対別海町連絡会

代 表 森高哲夫

 米海兵隊移転反対釧根連絡会

代 表 宮本洋昭

米海兵隊移転訓練および駐留・統合に関する申し入れ

米海兵隊による沖縄県道104号越え実弾射撃訓練の分散・移転は8巡、29回めの訓練を矢臼別演習場で実施しようとしています。私たちは、過去7年間、この訓練のようすと内外情勢の動きを見てきましたが、その不当性はますます明らかになってきています。

第一に、政府は住民を裏切りつづけています。

この訓練では、夜間訓練を重視して強行、実弾砲撃そのものの強化のうえに、砲撃以外の多様な訓練を実施、滞在期間も不当に長いなど沖縄での訓練の補充、強化であることは明白です。「沖縄ではできない訓練が可能になって感謝」という米軍側の発言がそれを裏づけています。また、「外出も訓練」として自由化し、「施設局員の『同行』」も当初の説明から大きく後退、新施設はつくらない、訓練は固定化しないなどと公言しながら、米軍向け施設が血税によって新設され、訓練終了のめどを示せないまま推移しています。政府当局の当初の説明や約束が、ことごとく裏切られている事態についての釈明を求めます。

第二に、この訓練は、「沖縄県民の痛みを分かち合う」として私たちに訓練のうけいれを迫ったものですが、8年後のいま、政府の判断をお聞きしたい。

キャンプハンセンにおける155ミリ砲による訓練を除くその他の火砲による訓練の実態と被害の状況、辺野古の沖に新設を強行しようとしている米軍巨大基地の問題、あい次ぐ米兵の事故・事件のため、海兵隊が深夜外出の禁止措置をとっているという治安の現状など、沖縄の負担はけっして軽減されていないと思うのですが、当局の判断を求めます。

第三に、矢臼別演習場で訓練をつむ在沖縄米海兵隊は大義のないイラク攻撃とひき続く占領行動に動員されています。憲法違反の自衛隊「派兵」とあいまって、日本国民はイラク国民との間に予期せぬ亀裂を生じました。日本国憲法のもと「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存」(前文)しようとする私たち日本国民にとって耐え難い苦痛です。憲法を遵守する義務を課せられている公務員(第99条)としての当局の見解を求めます。

第四に、在日米軍の再編をめぐって、在沖縄米海兵隊の「矢臼別駐留」案が報道されました。佐野力三別海町長は分散移転の訓練の「矢臼別一か所に統合」案もあることを示唆しました。いずれも不確かな情報とされていますが、従来の多くの事例から私たちは「ありうること」として強く警戒、当局に向けて反対の申し入れをしているところです。

現行の訓練においてさえ、地域住民を不安と不幸に陥れているものが、長期化し、あるいは部隊の常駐化に至る事態は到底受け入れられるものではありません。米海兵隊の訓練の統合・部隊の駐留はないという当局の責任ある言明を求めます。

矢臼別演習場の周辺地域は、私たちの父祖が血のにじむ苦難の上に切り拓いた酪農郷であり、それをとり包む人々の楽土です。日米当事者からみればとるに足らぬ一僻地かもしれませんが、住民のひとりひとりはかけがえのない日本国民であり、少数であるが故に犠牲を強いられ、きり捨てられるべきでないことは自明の理です。

この地域の住民が、孫子の代まで平和に心豊かにすごせるように、現行の訓練を中止し、訓練の統合、部隊の駐留などの事態に至らぬことを重ねて強く要求するものです。

以上貴職を通して関係当局に申し入れ、具体的に回答されるよう求めます。